岸田政権、旧統一教会問題で存亡の危機 各社の世論調査で内閣支持率が大きく下落

岸田文雄内閣の支持率が、各社の世論調査で軒並み大きく落ち込んでいる。旧統一教会と自民党の密接な関係が指摘されているためで、政権は危機的状況だ。

国政選挙を乗り切って安泰だったはずの岸田文雄政権が存亡の瀬戸際に立たされている。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と自民党政治家との関係が次々と発覚し、国民の不信が募っているのだ。背景には応援してくれる組織を十分チェックしない自民党の積年の体質がある。コンプライアンス(法令や社会規範の順守)が厳しく求められる時代との落差はあまりに大きい。岸田首相は自民党の「解党的出直し」を迫られている。

きっかけは7月8日の安倍晋三元首相銃撃事件だった。山上徹也容疑者が犯行の動機に関連して、母親による旧統一教会への多額献金で家庭が崩壊、旧統一教会の友好団体の集会にビデオ出演した安倍氏に殺意を抱いたと供述したという。この犯行は許されないが、旧統一教会と自民党との深い関係がクローズアップされた事件となった。

波紋は広がった。事件当時、経済産業相だった萩生田光一氏は旧統一教会系の会合に出席していたと発表、山際大志郎経済再生相も同じような会合に出席したと明かした。内閣支持率が急低下したことに危機感を抱いた岸田首相は、予定を早めて8月10日に内閣改造・自民党役員人事に踏み切った。

局面転換を狙ったのだが、(1)経産相から党政調会長に横滑りした萩生田氏が、参院選公示直前に立候補予定者と旧統一教会の施設を訪問(2)留任した山際経済再生相が、旧統一教会系の団体がネパールで開いた会議に出席していた、といった新事実が次々と判明。改造前には党総務会長を務めていた福田達夫氏が、旧統一教会に関連して「何が問題なのか分からない」と語り、多額献金などで苦しむ被害者たちから強い反発を浴びた。

内閣支持率はさらに低下。朝日新聞の調査(8月27、28両日)では岸田内閣を支持する人が47%で7月に比べて10ポイント下落。支持しない人は25%から39%に急増した。ほかの調査でも支持率は軒並み低下している。いずれの調査でも首相の旧統一教会問題への対応を「評価しない」が多数を占めており、この問題が政権を直撃していることが分かる。

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